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「本日の都市管理業務第3行程終了。 『了解デス』 「お願いします」 |
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本当は第3行程までの予定だったのだけれど。 彼女のお仕事は、都市管理部の情報蓄積及び異常監視の業務。なんだか難しい言葉で、よくわからないけれど、彼女自身はわかっているみたい。 本当は17時には帰る予定だったのだけれど。 彼女が手元の鍵盤……コンソールというの? それに、オルガンを弾くように滑らかに幾つか触れると、金属式の篆刻表示板に外の様子が映されます。 「……第3層の記念球場は今日も超満員。 大きな大きな情報処理用機関がある、鉄と石のお部屋。 下層の一番上にある第1層、幾つもの大きなビルディングが建ち並ぶ都市摩天楼の一角の、そのまた奥の一角。 ようやく残業も終わりかけ。 彼女はまたコンソールに触れて、表示板の表示を変えます。そこに書いてある文字は、わたしにも読めるかな。 トートを起動、と書いてあります。 「都市管理部専用の外部機関を起動して下さい」 『了解デス。 彼女に応える高い声は、合成音声です。 ちんぷんかんぷんだけど……。 『情報蓄積用巨大機関《トート》ガ起動シマシタ。 「はい」 『……変更完了。お疲れさま、お嬢さん』 「お疲れさま、ミスター・トート。 『お願いします』 今まで話していた合成音声とはなんだか違う声です。 『保存終了しましたよ、お嬢さん』 「……貴方は他の機関(子)と違ってフランクで、助かります。他の機関も貴方と同じような高機能ならいいのに。おかげでいっつも残業ばかり」 『申し訳ありません』 「あ、ごめんなさい。貴方のせいじゃないですよ。 『恐らくそれは不可能でしょう』 「どうして?」 『私の所有権はインガノック上層ではないためです』 「え……。 『特1級機密です。エリス』 諭されるように言われてしまいました。 そう、エリス。それが彼女の名前です。 エリス。 エリス・セントール。正しい名前はセントール・エリス・オアンネス。《蹄馬》の多くは、セントール・ケイロンというお爺さまから名から一部を譲り受けるのですって。 『では、おやすみなさい。エリス・セントール。 「おやすみなさい。ミスター・エンジン。
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