■世界

●東大陸
 都市インガノックの存在する大陸。
 《既知世界》の東部に位置する大陸である。サイズは南北アメリカ大陸よりも大きめ。
 数百年前までは、無数の貴族領が混在する大陸だったが、現在では巨大な貴族連合国家である“王侯連合”による統治が行われている。

●王侯連合
 東大陸の覇者。無数の貴族、王族、諸侯たちによって形作られた巨大連合国家。
 ともすれば容易に分裂しかねない国家体制を、7名の大貴族“選帝侯”たちが強大な軍事力と財力・資源力とで強固に支え続けている。彼らの選ぶ“連合皇帝”は、有力貴族たちの集う連合議会を束ね、連合内に組み込まれた旧大国の太守たちから成る元老院の力を借り受け、さらには“選帝侯”直々の後押しを得ることで、10年ほどの短期とは言え、一時的に北央帝国皇帝と並ぶ世界最高の権力を得ることになる。
 北央大陸を支配する北央帝国とは2次大戦終了後から同盟関係にあるが、これを“血の流されない戦争”すなわち情報戦時代と代理戦争時代の幕開けであると見る向きもある。

●西亨
 あなたの住む世界。惑星名は地球。
 北央大陸北西に位置する《ロマール海》を越えた先にある異境。正しく表現するなら別世界(別惑星)であるが、《既知世界》の人々は“海の果てにある異境の大陸”と捉えており、実際に、帝国を始めとする各国もそのように発表している。
さまざまな国家の中で、《既知世界》との門を有する北海に最も近い英国のみが、北央帝国を含めた《既知世界》との国交を有しているとされる。
 連合歴533年にして西亨歴1903年の時点では、優れた機関文明が世界全土で発展しており、やはり“青色”の空を失っている(北欧の一部やチベット、南米大陸の一部には未だに青空が残っているとも言われる)。蒸気機関兵器技術の発達については、北央帝国の水準にまでは今一歩及んでいない。

■インガノック

●《異形都市》インガノック
 東大陸南端部に位置する、王侯連合の大型機関都市。
 ひとつの巨大な城のようにも見える、アーコロジー都市計画に基づいて建造されていた多層環境型都市。幾層もに連なった巨大構造体(メガストラクチュア)であり、擁する人民は100万を超える。
 北央歴2206年にして連合歴533年12月25日、爆発的に発生した《無限霧》に包まれて外部との接触が不可能となってしまった。
 恐ろしい霧に包まれて、都市は異形のものに変化してしまったのだ。空や、海と同じように。……周辺地域の人々は、口々にそう囁いて、かつての都市を《異形都市》と呼ぶようになった。
 王侯連合は、既にインガノックを「連合に所属しない廃墟」として定めたという。

※アーコロジー都市計画
 10年前まで大公爵が進めていた都市建造計画。食物生産のための田畑すら内包した完全環境都市の建造計画だったが、《復活》によって事実上完成を見なかった。しかしある程度の完成状態にはあったため、下層にも上層にも生産用エリアが存在している。
 緩やかな枠組みがあり、それにおおむね添った形でコアな部分は作られ、辺縁部分は自然と成立するに任せていった。

・東大陸の《無限霧》
 連合歴533年12月25日、王侯連合すなわち東大陸の南端部で発生した異常濃霧。
 非常に濃度が濃く、日数を経ても、暴風に晒されても、消えることがない。方向感覚を阻害し、方位磁針を狂わせる、などの現象も連合の観測調査によって確認されている。
 インガノックの人々は知り得ないことだが、中心部を目指して霧に進入した者は、現在までひとりも戻っていないという。王侯連合から派遣された第2次から第5次までの調査隊も、同じく消息を絶っている。
 長時間留まっていると肉体が溶けてしまう、変異してしまう、とは周辺地域の噂話に過ぎないが、それを信じてしまいそうな不気味さを備えた霧であるという。
 この濃霧のため、インガノックは外界から完全に孤立することとなった。

●《復活》
 連合歴533年12月25日、インガノックを襲った異常現象。
 地下中央機関は荒ぶるドラゴンの住処となり、富裕なる都市上層には妖精や幻獣が、貧困たる都市下層には異様なまでに育った植物や妖樹がはびこった。生き延びた下層の人々のうち多くが異形の姿へと変じ、都市近郊には恐るべき妖物魔物が跋扈し、無力なる人々を襲う──
 10年の月日を経た現在では、多くの犠牲と知恵によって神秘生物たちとの共存を辛うじて果たし、41体の大型異形から逃れ、生きるための領域を確保し、失われつつあった機関技術と文明による生活をなんとか維持している。

●都市上層
 インガノックを支配する貴族たちが住まう、都市の頂上に位置する上層部。威圧感を感じるほどに荘厳な多層建築の都市風景。
 本当なら人影は無数にあるはずだが、絵としてはひとりも見えず、生活感がない。
 10年前には存在したアーコロジー都市計画の名残がこの上層には存在する。
 威圧感と、美しさ。
 ロココ(バロック)、古代ローマ、アールヌーヴォー(特に植物モチーフ等)などの華美かつ荘厳で威圧的、かつて世紀末的と評された“美しすぎる”風景が、近未来的な多層建築として存在する。

●都市下層
 インガノックの大半を占める市民区画。
 さまざまなものが詰め込まれ、空間を圧迫し続ける多層の都市風景。
 アーコロジー計画はもはや面影だけに留まり、幻想生物のもたらす崩壊と増築に次ぐ増築によって下層は“歪んだ都市”の姿となってしまった。それでも人々はたくましく生き続け、歪みのただ中に生活空間を構築した。
 不安感と、美しさ。
 建築物詰め込まれた空間ながらも、市場、通り、乱立する大型の共同住宅(アパルトメント)などは生活感に満ちて、子供たちの遊ぶ声が響き、時には溢れる生命力で繁茂する緑の木々が顔を出す。充分とは言えないが食糧をもたらす異常繁茂中の田畑も、豊富な水産資源を生み出す大型貯水池すらも存在している。

●無限雑踏街
 ギーの活動の中心となる、インガノック下層の雑踏街。
 昼も夜も灯りが満ちており、不夜城と呼ばれることもある。


●都市摩天楼
 インガノック下層の中でもかなり上層に近い場所に位置する、高層建築群。
 アーコロジー都市計画の要として建造されていたが、10年前の《復活》によって幾つかの高層建築は建造途中で放棄されている。
 巨大機関によって発生させた莫大な蒸気エネルギーを下層各部へと配分する、まさしく都市の心臓部。高層建築の多くは巨大な計算機関である。
 エネルギー配分区であると同時に、行政区、情報処理区としての機能を備えている。さらには経済特区としての側面もあり、都市の中でも有数の商会(企業)はこの摩天楼に高層建築という名の“城”を有することとなる。

●《上層階段》
 都市の下層と上層とを繋ぐ巨大な螺旋階段。
 螺旋階段は全7枚の巨大プレートで構成されており、プレートのひとつひとつは異常繁茂した緑が満ちる公園となっている。しかし正確には森でもなく公園でもなく、自然に茂った森のようであり、人の手が入った公園のようでも、知的昆虫である《虫蟲》たちの住まう生活空間ある。
 下層民が昇ることができるのは上層階段第3公園までであり、それよりも上、上層階段第4公園の範囲内に足を踏み入れた者には、不気味な上層兵の手による無裁判処刑が待っている。
 そのため、第4は勿論のこと、第3公園付近でさえも下層の人々は近づかない。
 一方で、下層に最も近い上層階段第1公園には、生活の苦しさを一時だけでも忘れるためか、美しい緑の様子を眺めに来る人の姿が絶えないという。

●第2水源区画
 無限雑踏街よりもさらに下層に位置する。濁った、広大な市民用生活貯水池を中央に抱き、《復活》以前に移り住んだ人々が、漁を生業に生計を立てている。

●情報書庫ビルディング
 都市摩天楼の一面を象徴するかのような、書籍による情報の集積体。建築物の内部すべてが、関係書籍で埋まっている。人が閲覧するための図書館では決してなく、あくまで、情報の蓄積場所である。
 人間が内部を歩いて情報を閲覧できるような構造にはなっていない。通常は、記録機関や自動人形などを用いて、目的とする情報を自動的に検索する機能がビルディングそのものに付属している。
 また、内部に保管する無数の書籍情報のすべてを情報蓄積用の機関に移行した「もぬけの殻」のビルディング存在するという。

●都市法
 大公爵アステアの定めた死の法。重度の病を患ったり、幻想生物の出現と襲撃による被害を被ったりした人々は、上層兵の手による無裁判処刑が行われる。
 法制定の理由は、上層と下層において些か異なっている。下層においては“2級以上の生活障害は都市の生産性を著しく落とすため”と公式発表されているが、上層では“肉体と精神の衰弱は幻想生物たちの跋扈を招き、やがて、多くを死に至らせる故”と発表されている。
 制定理由の矛盾については、上層と下層の交流が禁じられている現在では、指摘できる者はひとりもいない。

●蒸気病
 機関排煙を吸い込み続けることで発症する、呼吸器を致命的に侵す病気。《復活》以前から存在する、インガノックに於いては「普通の病」である。が、忌罹病と融合することで致命的な病となる。

●忌罹病
 《復活》以後、発生するようになった、都市の病。遺伝子をねじ曲げ、人の姿を幻想の異人種へと変節せしめる。
  別名、変異病。

●樹化病
 正確にはこれは病ではない。
 クリッター・ブラッドツリーの死の種子が肉体に着床してしまった人間の「状態」を指す。着床された人間は精神を蝕まれ、肉体を“蔦”に奪われ、罹病者は数年のうちに死に至る。
 数秘機関による肉体置換や現象数式である程度の延命を行うことが可能であるとの報告もあるが、正式な情報としては都市管理部に記載されていない。
 都市法においては、樹化病の罹病者は排除対象、すなわち処刑の対象である。
 多くの場合、下層の人々は樹化病のことをひた隠し、数秘機関の義肢をつけて不自由を補う。いずれ必ず訪れる死に対して、怯えながら。

●現象数式実験の噂
 ひとつの噂がある。下層の中でもかなり上層に近い位置にある層プレート、裕福な高級市民たちの暮らす第1層での噂だ。
 かの大公爵アステアが、現象数式実験で重傷を負ったという噂。それ故に、都市の支配者たる大公爵閣下は人前に姿を見せないのだと。
 同じような噂は、第1層には幾つか流れている。実験で大公爵は死んだ、というものさえある。その噂によれば、現在の上層にいる閣下は影武者という訳だ。
 流れる噂のどれも、根拠もなく信憑性も薄い。だが、どちらにも共通している部分がある。それは「実験」の内容だ。
 現象数式実験。物理の法を自在に書き換える脅威のわざを生み出した、大公爵の奇跡。それは、およそ人智を越えている。下層の多くの人々は“魔法”とすら呼ぶだろう。まさしく、失ったおとぎ話のわざだと。
 それを生み出すに到った現象数式実験。その過程についての、噂。

「無数の碩学の命を薪として、無数の鉱石と無数の宝石と無数の塩水を蒸留させ続け、やがてそれは成った」

「無理矢理に大型計算機関を埋め込んだ大公爵の脳へと書き込まれたのだ」

 このように、噂では囁かれている。真偽の程はわからない。信じている者もそう多くはないだろう。囁かれるこれらの噂の中で、唯一、数多くに信じられているのは……。
 ……まだ「実験」は続いている、という噂だけ。

●信仰
 都市インガノックには、広く信じられる信仰や宗教は存在していない。
 広く言えば王侯連合や北央帝国を含む“既知世界”には“神”なる概念は存在しておらず、キリスト教と呼ばれる宗教・信仰が西亨からわずかに伝わっているのみである。そう、西亨には宗教が確固として存在しているのである。
 そして、インガノックに暮らす西亨人の数はごく少ない。宗教者や信仰を有する者の数は、多く見積もっても数百人程度であり、そのすべてはキリスト教の“神”を奉じているという。

●《奇械》のおとぎ話
 あらゆる幻想が牙を剥く実体となってしまったこの都市では、誰もがおとぎ話の類を口にすることはなくなった。あるのは現実に即した“噂”ぐらいのもの。
 しかし、ただ一つだけ存在するのが、《奇械》のおとぎ話である。
 それはインガノック最後の希望。鋼を纏った人型の何者かが背後に立ち、やがて人に“美しいもの”をもたらすという。
 具体的なエピソードは存在していない。ただ、下層の英雄たる路地の騎士(ストリート・ナイト)がかつて《奇械》を有していたであるとか、《奇械憑き》の噂などがわずかに流れるのみである。

■インガノックの技術

●機関(エンジン)
  あらゆる機械の動力であり、高度な演算を果たす計算機であり、情報処理機械でもある、《既知世界》全土における文明の要。現在では世界と隔絶されているインガノックとはいえ、例外ではない。機関は都市のあちこちに顔を出す。
  外燃機関であり、大型であればあるほど出力を増す。
  貴族の邸宅や機関工場、大商家には大型から中型までの機関設置が認められている。一般の臣民や市民のレベルになると、に小型の機関が各戸にひとつずつ存在する、という形になる。

●現象数式(クラック)
  10年前の《復活》であらゆる幻想が現出した都市インガノックで生み出された力。
  他の《既知世界》では存在しない、隔絶されたインガノック独自の技術である。
  あるはずのない現象を引き起こす。
  都市に満ちた《復活》の理由と原因を研究していた大公爵アステアによって発見された怪理論であり、ある種の《数式》を真に理解し、脳裏に描くことで、おとぎ話に登場する“魔法”にも似たさまざまな現象を操ることができる。
  熟達すれば火器を超える破壊の炎を操ることも、欠損した肉体を治癒することさえ可能となるが、複雑で奇怪なアステア理論を習得できる人間はごく一部であり、使用者は都市人口の1%にさえ満たないという。

●数秘機関(クラック・エンジン)
  現象数式を用いることで成立した、人体置換もしくは埋め込み式の機関機械。
  他の《既知世界》では存在しない、隔絶されたインガノック独自の機関機械である。
  元は、《罹忌病》のために生活が困難なまでに四肢を変異させてしまった人の義肢として開発されたが、現在では応用が進み、頭脳や身体を強化させることさえ可能となった。
  下層の人間の多くは、幻想生物に襲われて失った四肢や、《罹忌病》によって変異した肉体をこの機関に置換している(この置換手術や埋め込み手術を“機関化”と呼ぶ)。
  中には、利便性のために自ら機関化する者たちも存在するが、生命と精神の危険が非常に高いとされる“全身の40%以上の機関化”は、戦闘用として開発された数秘機関の義肢や内蔵武器を埋め込む“路地裏の荒事屋(ストリート・パンク)”たち程度である。
  全身を機関化した“機関人間”となれば、大型の幻想生物すら殲滅できると噂されているものの、頭脳と精神へもたらされる負荷は凄まじく、置換手術の成功例は1度も記録されていない。
  一部の人々はこの技術を「サイバネティクス」と呼称する。

●火器
  インガノックにおいて、銃などの火器の所持は禁じられている。
  一部の上層兵のみが有するというが、クリッターや神秘生物たちには通用しないため、人々は火器に対する関心や欲求は薄い。

●機関接続(コネクト)
  接続用数秘機関を肉体に埋め込むことで得られる、計算機関や情報機関と同調し、複雑な入力をせずとも各種の情報を引きだす機能。
  これもまた、他の《既知世界》では存在しない、インガノック独自の機械である。
  計算機関などに手を触れて、意識を数秘機関に集中することで機能が起動する。
  初級の接続用数秘機関はごく小さなものを頭脳(後頭葉)に埋め込むもので、手術痕は髪に隠れるため殆どわからない。下層の人間の多くは闇医者や《数式医》に金を積み、手術失敗による命の危険と引き替えに、機関工場の生産力を幾らか向上させている。
  上層によって禁じられた“上級”の数秘機関については、脳の一部を置換する大手術が必要となる。失敗による死亡率が極めて高い手術だが、もしも手術に成功すれば、その人間は多くの計算機関を瞬時に操り、超人的な情報処理能力を得られる。しかし、頭脳置換の手術を成功させられる腕を持った闇医者を探すのは、手術を成功させる以上の困難を極めるだろう。

●モノレール
 多層構造からなるインガノックにおける、階層間の移動手段の一つ。一般市民の生活に広く利用されている。有料。

●数秘機関と医療
 現在でこそ荒事屋やドラッグ・ギャング、上層兵などの戦闘力強化の印象が色濃い数秘機関ではあるが、本来、これは医療用義肢として開発された技術である。
 可能な限り拒否反応と負荷を抑え、失った肉体機能を補うための機械として。事故被害や事件被害での肉体損傷や変異病などに罹った人間の治療法として、これらは下層ではごく一般的な存在となっている。
 医療用数秘機関の多くは、上層認可のある純正品であれば高価である。それ故、下層の人々は闇医院や市場で違法に安価な数秘機関を入手する。
 ……公然の秘密ではあるが、下層には安価な数秘機関を大量生産する機関工場も存在しているという。しかしこの場合、拒否反応と負荷は、純正品の数倍に及ぶ。これに対して、都市上層は沈黙という反応を保っている。

●貴族紋と上層貴族保護政策

 都市に蔓延する変異の病。肉体を幻想人種に変異させるこの病からは、逃れる術はないというのが医療的見解だ。
 下層においては、呼気覆面を装着することで防げるという迷信が広まっているが、根拠は一切ない。対して上層では、より現実的な対処法が行われている。上層貴族の肌に彫り込まれた、ある意味で貴族の証明でもある“貴族紋”である。
 これは現象数式に基づいた数式紋様であり、肉体を歪ませる変異の病に対して絶対の防御効果を持つのだと言う。
 下層の人々はこの紋を羨望している。「自分たちにも彫ってくれ」と。しかし、上層はこう発表している。「これは人体実験を行っている段階なのだ」と。支配者である上層貴族が先に立ち、己の肉体を以て実験を行い、しかる後に安全性が確保されれば、いずれ下層にも技術供与しよう、と。
 ……その言葉を信じる者もいる。
 ……信じぬ者もいる。
 貴族たちの間では、この紋を彫る制度を、上層貴族保護政策と呼ぶ。本当に人体実験なのかどうかは。その名を見れば一目瞭然だろう。

●現象数式実験
 10年前の《復活》によって発生した災厄に対処するために、大公爵が上層で実施した、インガノック(そして世界で)初の数式実験。現象数式ことアステア理論を完成させ、災厄に抗しうる力を都市に与えるため、大公爵はこの実験に尽力したという。実験開始日は《復活》の日の7日後。そう公式発表されている。
 大公爵による「現象数式実験の成功」が発表されたのが《復活》の2年後であることを鑑みるに──数式の完成までに、実に2年の歳月を費やしたことになる。
 災厄の中で、多くの碩学たちが現象数式実験に参加し、倒れたと言われる。大公爵自身、病に伏せることになったとも。現に、大公爵はこの10年のうち、貴族と市民に顔を見せたことはない。現象数式実験の成功を告げた時も、都市法の施行宣言の時も。どちらの時も。放送機器を用いて、大公爵の音声のみが都市に響き渡ったという。

●シリング・クレッド
 一種の機関カード。都市下層の多くで使用される「現金に代わるカネ」である。
 支払い保証済みの上に無記名であることが多く、違法商取引の場での使用頻度が高い。支払い済みの無記名の小切手と同等の意味合いを持つ。どんなに高額でもカード1枚で済むために携帯性に優れ、何よりも、無記名であるために足がつかない。
 荒事屋の報酬として用いられることも多いという。

●ドラッグ・アムネロール
 主に新式の無針注射器で静脈に注射することで効果をもたらす、下層全域に蔓延する新薬。経口摂取する型のものもあるが、純度がごく高く、あまり出回ってはいない。
 違法ドラッグである。ドラッグギャングを初めとする最下層の犯罪集団や、闇社会の商人たちが取り扱っているという。
 投薬による効果は以下のものである。

 ・現在という時間感覚の喪失。
 ・極度の多幸感と、特徴的な記憶の混乱。
 ・色彩感覚の異常。

 現在を忘却するという甘美な薬。それがアムネロールである。現在、都市下層において爆発的に流行しているドラッグであり、街角に立つ売人の多くが安値で取り扱っているだろう。
 ただ、使用の際には注意が必要だ。アムネロールの重度中毒の症状はきわめて致命的である。

 ・突然発生する精神の狂乱。
 ・肉体の疲弊。
 ・内臓の極度の損傷。

 これらの症状に加えて、もしも中毒者が《熊鬼》であれば、防弾壁を破壊するほどの異常体力を見せることもあるという。
 ちなみに、この薬物の中毒者の死亡率は極めて高い。狂乱して管理官や荒事屋に殺される者、内臓の損傷で死に到る者。そして、最も多いのが……。
 ……自殺者である。

●根源の現象数式
 大公爵アステアの手による現象数式実験の際、彼の脳内器官へ刻まれるはずだった、原初にして根源のアステア理論である。最後に倒れた碩学の残した記録(走り書きに近いものではあるが)によれば、それは都市の《復活》に深く関係するのだという。
 だが、根源の現象数式は、大公爵の脳には刻印されなかった。彼の脳に刻まれたのは第2の現象数式。会得したのは、ただのアステア理論。そう、記録には書かれている。……であれば、“根源の現象数式”は一体誰のどこに刻まれたのか。
 ……記録を残した碩学は、それを記すことなく倒れ、死んだという。

■インガノックの人々

●幻想の異人種
  元は人間であったけれど、《復活》の影響によって変異した人々。
  インガノックの住民の殆どが大なり小なりの変異を発症させているため、狭義では「インガノックの住民」全体を指すが、一般的には「大きな変異で外見が人間から離れた人々」のことを指す。
  異人とも呼ばれるが、これは上層(インガノックの富裕層、支配層、知識層)から呼びかけられる言葉で、多分に差別的ニュアンスを含んでいる。下層の人々がそう呼びかけることは殆どなく、種としての名前である《猫虎》《虫蟲》《蜥蜴》などを用いるのが一般的である。

《虫蟲》
  昆虫人間。大きさは人間よりも小さかったり大きかったり。二足歩行をする。
  カブトムシふうの甲虫タイプから、アリやハチに似たタイプ、イモムシそっくりのタイプまでさまざまな種がある。人型に近いものもいれば、まったく人型でない形のものもいる。
  卵生で、人間との混血はできない。(例が確認されていない)
  ただ、異なる種の《虫蟲》同士では混血ができる模様。

《猫虎》
  猫や虎に似た人型の生き物。人間とほぼ同じ体格、手足の長さ。
  ほとんどの《猫虎》は顔立ちも人間に近いが、まれに虎そっくりの顔になる者もいる。人間との混血は可能。
  種として身体能力に優れ、俊敏。
  奔放な性格が多いとされるが、個体差でかなり変わる模様。
  まれに、左右どちらかの眼球に黄金瞳を顕現する者がいる。これは《奇械》の目だとする説が上層にはあり、上層では忌避され、下層では忌避の上に畏怖されている。荒事に身を置く人間たちの間では皮肉を込めて「幸運の証」とされている。

《狗狼》
  犬や狼に似た人型の生き物。人間とほぼ同じ体格だが、成人、特に男性は人間よりも体格が大きくなることが多い。《猫虎》ほどではないが、俊敏で、何よりも膂力に優れている。
  《猫虎》と同じく、人間に近いか犬や狼に近いかは個体差の範疇。
  人間との混血は可能。
  性格は人間と同じくさまざま。ただ、幼少時から「しつけ」れば人間よりもよほど忠実な“番犬”になるとは言われている。

《鳥禽》
  鳥類に似た生き物。ツバメのような小鳥タイプから、タカやワシやフクロウのように勇猛な猛禽タイプまで、さまざまな鳥類と人間とがまざった姿をしている。
  体格は人間より大きいものから小さいものまでさまざま。
  必ずしも人型ではなく、まるで“大きな鳥”という姿のもののほうが数は多い。

《蜥蜴》
  トカゲ人間。子供の頃のサイズは人間とそう変わらないが、成人になるとおおむね、体格は人間よりも上。トカゲの顔と皮膚(ウロコ)を持ちつつ、ぎりぎり人型と呼べる程度の姿をしている。
  モチーフとなるトカゲの種類はさまざま。
  トカゲに似ているが両生類のような特徴を持つらしく、旧貯水地跡や水道公園跡などの水辺に棲息している。

《熊鬼》
  熊人間。子供の頃から体格は少し大きめ。成人の体格は人間よりもだいぶ大きい。性格は温厚なものが多いとされるが、インガノックのタブロイドで《熊鬼》が取り上げられることといえば、何らかの理由で凶暴になり、暴れ回ったという話ばかり。

《蹄馬》
 馬に似た生き物。多くの場合は、馬の首から上の部分が人間の上半身になっている、というもの。馬の部分が多いものの、馬から変異してこうなった訳ではなく、他の種と同じく人間から変異した幻想人種である。
  総じて計算に長けた優秀な頭脳を有しており、なおかつ体力も通常の人間の数倍。
  長時間の頭脳労働が可能であると言われる。
  最も優秀な現象数式使いであり、老師イルと並んで人々に慕われる賢者でもあるセントール・ケイロン博士は、この《蹄馬》のひとりであると噂されている。
  性格はおおむね穏やかだが、激昂した際の「後ろ足」には注意が必要。

●《復活》以降に生まれた子ら
  たとえ親が変異を免れていても、インガノックの子供たちの多くは成長の過程で内臓の一部や外見が変異してしまう。
  およそ10%は、生まれた時から幻想の異人種へと変異しきっているという。

●下層人
  下層人の多くはフルフェイス型のマスクをつけている。
  元は《蒸気病》を防ぐはずのものだったが、10年の間に《忌罹病》を防ぐものという迷信が下層民に広まったため、多くの下層民がこれをつけて暮らしている。
  けれど、実際の効果はない。

●数式医(クラッキング・ドク)
  ギーの職業。現象数式を用いて人々を治療する医師のこと。
  《復活》によって肉体を変異させた人々が満ちたインガノックでは、彼らは通常の医師よりも遙かに“必要”な存在である。ただし、弱った人々が生きるには、という意味で。

●荒事屋(ランナー)
  インガノック下層、特に都市摩天楼を中心に活動する、数秘機関を埋め込んだ人々。
  彼らは身体能力を著しく強化されており、匿名の企業の依頼を受けて別企業の活動妨害や研究奪取、襲撃や誘拐なども行うという。
  火器を制限されたインガノックでは、彼らの存在こそがが最大の“武器”である。

●上層兵
 中世的な金属鎧に身を固め、肉体のおよそ90%以上を数秘機関に置き換えた改造人間。上層やそれに類する施設や人物を守護するために存在する、戦闘用の機関人間である。鎧に刻まれた数式紋は鋼鉄の耐久力を高め、銃弾すら弾くという。大剣を用いたその戦闘力は、大型の幻想生物数体に匹敵する。
 元は都市下層に生きる人間であったが、彼らは志願によって機関化を選んだ。上層貴族へと忠誠を誓い、鋼の人間へと化すことで、彼らは自動的に1級市民と同等の権利を得る。
 なお、鋼鉄の仮面に覆われているため、彼らの顔は誰にも見えない。

●上層貴族
  都市上層に住まう、数少ない特権階級の人々。
  一切の変異をしていない“完全な人間”であり、インガノックにおける“完全な人間”といえばまず彼らのことを指す。

●ハッカー
 情報専門の荒事屋の一種。高度かつ困難な、頭脳置換の手術を経て、都市を駆けめぐる機関エネルギー情報網に接続し、干渉し、各々の情報書庫に遠隔接触する能力を得た者達。ハッカーと呼ばれる者の全員は、特2級の指名手配犯である。

●伝説のハッカー“ケイス”または“K”
 とある伝説のハッカーがいた。名前はケイスともKとも伝えられている。
 クロームの刃とも謳われた歴戦の荒事屋の女性Mと相棒にした彼、天才的な腕を以てあらゆる情報書庫をこじ開け、都市摩天楼における財務情報と機密情報の多くを手中に収める寸前にまで到ったという。現象数式使いであり、ハッカー技術にそれを応用していたのだという説もある。
 彼は大公爵に代わり、新たなインガノックの王となり得る。そう囁いた者もいた。しかし、そうはならなかった。
 彼はある時、上層貴族の情報書庫に潜り込み、灼き器の妨害を優雅にくぐり抜けながら、あろうことか大公爵の情報に触れたという。
 ……翌日。ケイスともKとも呼ばれた男は、自宅前で消し炭になっているところを街路の不法居住者に発見された。相棒であった荒事屋Mは姿を消した。
 これは荒事屋たちの間でちょっとした話題になった。凄まじい腕前を持つ特1級のハッカーが大公爵の秘密に触れて死んだ。確かにセンセーショナルな響きの事件だった。
 しかし、この事件はあまり都市下層に浸透しているとは言い切れない。
 伝説の男は上層というシステムと大公爵という王に挑み、破れた。ただそれだけが、残された事実だ。

●《奇械》使い
 おとぎ話とも噂と判別のつかない風説に、《奇械》を得た者、《奇械》使いというものが存在する。この名称は下層に薄く広く広がっている。
 《奇械》使いとされる人物の多くは下層における数少ない英雄的人物を指す。曰く、伝説の腕前を持つ荒事屋であるとか、かつてクリッター討伐(クリッター・サウンドブラスト討伐)に関わった人間であるとか。中でも最も一般的なものは、路地の騎士(ストリート・ナイト)が《奇械》使いであったとする話である。
 実際のところ、正式に確認された《奇械》使いは存在していない。人々の噂もとらえどころがなく、ただ、儚い願望のように現れては消えるのみである。

●路地の騎士(ストリート・ナイト)
 ほんの一時期のみ活動が囁かれていた英雄である。クリッターや幻想生物の脅威の下で無数の命を奪われつつあった下層で、僅かながらも刃を以て恐怖に立ち向かったという。
 都市最強最速を謳われた路地の騎士。全身に数秘機関を埋め込んだ機関人間であると言われるが、確かな正体は記録されていない。その栄誉を称えられて上層貴族の一員となったとも、ハイネス・エージェントになったとも、大公爵に仕える近衛騎士になったとも言われるが、すべては謎のまま。
 現在では、その存在そのものが風説であったとする論もある。

■神秘の存在たち

●神秘生物(幻想生物)
  幻想の異人種でも、クリッターでもない、妖精のような生物たち。
  幻想生物とも呼ばれる。
  工場から希にポンと生み出される機関精霊を筆頭に、羽の生えた小人や、馬ほどに巨大化した犬などがインガノック下層のあちこちで確認されている。
  基本的には動物と同じであるため、撃退することも、手なづけることも可能。

●機関精霊
  防護用の機関スーツに身を包んだ人……をギューンと小さくしたような姿を持つ、都市精霊の一種。人間には敵対せず、むしろ友好的で、何も言わなくても機関工場の作業を手伝ってくれたりする。
  機関工場で製作される品々の中から、ごく希に生まれてくる。誕生の方式は、20基の計算機関がベルトコンベアで出てくるはずが、19基の計算機関と1匹のティムズが出てきた、などの形になる。
  出自となった製品に近い能力を持つが、総じて火器工場からは生まれてこない。
  普段は「プシュ」「プシュル」という鳴き声しか出さないが、頑張れば人語を話すこともできるという。ただ、相当に懐かないと話してはくれない。
  下層にのみ棲息し、上層での目撃例はない。

●《奇械》
  10年前の《復活》の日より現れた、鋼鉄の鎧に身を包んだ、影の如き異形たち。その存在は“おとぎ話”としてのみ、インガノックの人々に伝えられている。公式には実在しないとアナウンスされている。
  《美しいもの》を人にもたらすというが、理由は不明。謎に包まれた存在である。
  また、彼らは死ぬことがない。宿主が死ねば、道化師グリム=グリムの導きによって、また別の宿主と結びつくだろう。
  ・総数は常に41体
  ・目に特徴がある
   初期〜中期のものは「両目を閉じている」「片目を開けている」「ひとつ目」等
   開いた両目を持つ《奇械》は、終期型のみ
  ・宿主とコードが繋がっている
  ・終期になると「口」が形成され、慟哭をあげる
  ・安らぐ歌を好む

●クリッター(Creature)
  都市インガノックに現出した凶暴な大型の異形41体。
  人間を害することを目的として存在する。
  動物や生物ではなく、人々はこれらを“災害”として扱う。打ち倒すことができない以上、そうする他にないからだ。
  おとぎ話の幻想生物たちの姿を模した彼ら「クリッター」は、必ず人間を傷つけるようにと、何者かによって定められているという。
  通常の幻想生物たちとの違いは、体のどこかにあるゼンマイ捻子。クリッターの体には必ずそれが埋まっているのだ。
  ・大型(体長3m〜20m)
  ・物理攻撃無効(特定の弱点以外の物理的な破壊力は作用しない)
  ・恐慌の声(人間や幻想の異人種の他に、クリッター以外の幻想生物たちの精神を硬直させる)
  ・感化
  ・ゼンマイ捻子が必ずどこかに刺さっている

●ウェンディゴ

 雪山に住むという伝説を持つ生き物。
 恐ろしい大猿のような姿。全身が白い毛皮に覆われており、二足歩行する。手の爪は硬く長く、かぎ爪のような武器となり、致命的な病原菌を対象へ送り込むことができる。
  ウェンディゴの頭蓋には歯が24本あり、そのすべてが乱杭歯である。
  夜行性であり、人間や幻想の異人種たちを捕食する習性を持ち、犠牲者の精神を自らの滋養として取り込むと言われる。しかし獣のように自分から襲いかかることはせず、催眠能力で配下とした人間を用いて犠牲者を手に入れる。

●ゴーレム
 西享の伝説に登場する青銅製の自動人形。
 巨人の姿をしている。主に水源や貯水池で出現することが多いとされる。
 ゴーレムは複数存在しており、その総数は33体。すべて同型であるが、それぞれに微妙な差異がある。背中にゼンマイ捻子がある。

●バンダースナッチ
 西享の物語に登場する凶暴な捕食動物。
 ドラゴンに匹敵する恐ろしい存在であると言われ、10年前の《復活》の際には都市各所で多大な被害をもたらした。
 バンダースナッチの頭蓋には8本の長方形型の歯がある。指は長く3本で、爪は鋭いが長くはない。首がにょきりと長く、長細い体と尾を有し、両翼さえ持つが、ドラゴンほどの勇壮さは有していない。いびつに歪み戯画化したドラゴンといったイメージ。
 10年前に大暴れした時と違って現在では広範囲の活動をやめ、人間をひとりずつ深い絶望に浸らせようと活動している。

●妖樹(ブラッドツリー)
 南洋の島に棲息したと言われる吸血植物に似たクリッター。都市下層でたびたび目にされるのは、うねる黒色と赤色で構成された蔦(本体ではない)。不気味であるが幻想的である種の美しさを備えている。
 増殖分裂や種子によって自らの摸造体を生み出す。10年前の出現時に撒き散らされた種子は都市下層の待機中に粒子として漂っており、生命力の弱った子供などに取り憑き、宿主の滋養を吸って体の各部位を奪いながら成長し、やがてはその命の終焉の時に破裂して種子を撒く。もっとも、多くの場合は、その前に上層兵による都市法の執行(すなわち死)が宿主と共に妖樹を滅ぼすことになる。
 都市下層で最も有名で、最も多くの被害を生み出す存在である。宿主の死までは成長以外の活動をしないが、切り離そうとすると蔦で攻撃してくる。

●《奇械憑き》
 都市で囁かれる唯一のおとぎ話の中に、《奇械憑き》という言葉がある。
 それを、人は《奇械》のおとぎ話の続きだという。悲しく恐ろしい夢の続き。美しい何かを求めたがために、または求めなかったがために、狂ってしまった悲しい《奇械》使いの話。背後に佇む《奇械》に頼りすぎたがために、背後に佇む《奇械》を無視してしまったがために、狂ってしまった悲しい《奇械》使いの話。
 どれもひどく漠然としていて、具体的なエピソードが語られることはない。ただ、そうらしい、というだけ。
 詳しい話は誰もしない。
 なぜなら誰も、それを知らないからだ。



■《既知世界》近現代年表(連合歴/西享歴)

509年/1879年
・北央帝国のクセルクセス9世、《大帝》ヒュブリスより皇帝位を継承される
・王侯連合の新たな連合皇帝にトバルカイン1世が選出される
・王侯連合の都市インガノックの初代太守に大公爵アステアが任命される
大公爵アステア、北央帝国の《大帝》ヒュブリスと接触があったとの風聞が流れる

519年/1889年
・北央帝国各地で第2次ラツダイト活動が発生するも、半年で根絶される
・西亨のアメリカ大陸における異形化が終息
・トバルカイン1世の宣言により、王侯連合ではラツダイトが発生せず

520年/1890年
・トバルカイン1世逝去
・新連合皇帝には、帝国との太いパイプを有するウルサー2世が選出される

522年/1892年
・北央大陸でベヴェル戦役発生、3ヶ月で集結
・王侯連合の都市インガノックで「アーコロジー都市計画」が始動する
巨大構造体の建設開始

532年/1902年
・北央帝国急進派、旧貴族派、共に頭を失って衰退
・王侯連合タインズマン筆頭公爵、北央帝国の《機関の女王》エイダ・ラブレイス・バイロンと会談

533年/1903年
・エイダ・ラブレイス・バイロン、北央帝国第1執政官に任命される
・王侯連合と北央帝国、新たな同盟を締結
・王侯連合の都市インガノックが《無限霧》に覆われ、世界から隔絶される

534年/1904年
・王侯連合、新兵器開発に着手
・北央帝国アステア家の当主カルベルティ、飛空挺乗りの娘と婚約したとの噂
・北央帝国空軍のマタイオス元帥、王侯連合タインズマン筆頭公爵の娘との婚約を破棄
帝国および連合、緊張状態に

■インガノック近現代年表(連合歴/インガノック歴)

533年?/00年
・都市インガノックが《無限霧》に覆われ、世界から隔絶される

534年?/02年
・インガノックに出現した神秘生物および41体のクリッターの暴威により、人口が一時的に50万人を下回る。
・大公爵アステア、現象数式及び数秘機関の存在を公開
これにより、神秘生物およびクリッターとの“ある種の共存”が可能となる

536年?/03年
・インガノック復興宣言

537年?/04年
・大公爵アステアによる都市法の施行
一定以上の罹病者や怪我人を都市に対する“悪なる負担”と見なし、粛正する法律

543年?/10年
・現在
・未だに《無限霧》は晴れず、インガノックは外界から隔絶されている──


[sekien no inganock -what a beautiful people-] Liar-soft 21th by Hikaru Sakurai / Ryuko Oishi.
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