「これより、北海を抜けて《異境》へと到る」 私は呼びかける。 培養槽の前に立つと、 溶液に満たされた巨大な硝子製の培養槽の中から、私を見つめる“フィンチ”の瞳に感情の色はない。 「……はい……」 声はか細く。 「先遣師団が北央帝国帝都を掌握した話は言ったな」 「……はい……」 「本日、動きがあった。 「……はい……」 「北央帝国および未踏領域にて新たな実験を行う。 私は昂揚していた。 「お前を使う。 「……はい……」 「言葉があれば、聞こう」 「……はい……。 フィンチの言葉に、私は逡巡する。 必要性を検討する。 「──思考装置は抹消する。 「……はい……」 「記録は引き継ぐ。 「……はい……。
言葉通りに。すみやかに。 そして、何の感慨も抱かずに行動していたはずの私は、実に数年ぶりに、かすかな驚愕を抱いたのだった。
──小型機関に触れた右手が。 |
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