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「そりゃ、あれだな。オメデタだ」 |
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| 「詳しいことはあたしも知らないんだけどさ、なんでもとってもありがたいらしい。たぶん、あたしの予想では、昔の王さまの姿をかたどった人形か何かだと思うぞ」 「……いや、待て」 「カルはわかるの?」 「セキハンという名……聞き覚えが、ある、ような……。北央大陸東北部にかつてあった古王朝では、死者の安寧を願って供え物をしたと聞く。確か、炊いたもち米に鶏の血をまぶして朱く染める……」 「まうまう〜」 「ええー、血とか嫌だよぅ。 ありがたいっていうなら、うーん、シェラはアレだと思う。ほら、お地蔵様のすっごいでっかいやつ。竜王さまの海域にあった、石でできたでっかいお顔! あの石のお顔はずーっと昔からあるありがたいものだって、竜王さまも言ってたし」 「それを用意するのか?」 「みゃ。みー、ん〜、持ってくるのも作るのも大変……」 「まうまう〜」 みんなで考えてたんだけど、どーにもわかんなくって。 オメデタの熱を治すのにセキハンが必要なんだー、って、その時のシェラは思っちゃってたから。 レヴィが何か言っても、よくわかんなくて……。 うん。そう。 レヴィも予想してたんだよ? 確かね、こんな感じ── 「違うよシェラっ。 あ、あのですね、皆さん。ちょっと聞いてください。セキハンというのは西亨の一地方における“赤飯”と同義であると思います。でも、それは“おめでた”ではなくて女児の成長を祝う行事であって……」 ……正解かどうかわかんないんだけどね。 でもレヴィはちょっと自信ありそうな雰囲気だったかも。 「女の子の成長? コニーはオトナなんだし、もう成長とか……あ、でも、おっぱいおっきくなってるかも!」 「そうじゃなくてぇ」 「ふぇ??」 「っていうかね、熱が出ただけで“おめでた”という発想は飛躍しすぎだと思うんだよ僕は……。カルベルティさんだって違うと思うって言ってるんだし、ここはおまじないの類じゃなくて、普通に安静にしてもらうのが──」 「ふみ???」 ここでシェラはね、気付いたの。 レヴィのこの物言いだもん。 さすがにわかるよね。 レヴィはオメデタが何なのかを、知ってるってこと! 「レヴィ。知ってるの?」 「え。何が」 「オメデタっってのが何なのか、レヴィはわかる?」 「……うん。僕たちには発音が訛って聞こえてるから、意味を取れてないだけだよ。オメデタじゃなくて、おめでた。わかるよね」 「み?」 「赤ちゃんができたってこと」 「ふぇ」 ──赤ちゃん! びっくりした、っていうか、頭にきた、っていうか、なんだろ、なんだろ、なんだろ! もうね、その時、赤ちゃんって言葉を聞いた時はもう、シェラ、わけわかんなくなっちゃって……。 だってコニーだよ!? コニーはコニーなのに、赤ちゃん、赤ちゃん抱いたコニーは素敵だと思うけど、でも、でもでもでも! ──怒るよね!? ──怒って当然だよね!? 「ぎみゃーーーーーーーーーーーーッッ!!!!」 「ま、待て、待て! シェラ! 落ち着け!!」 「シェラ冷静に、冷静になって! だから、そういうことじゃないだろうって話なの!」 「みゃーーーーーーーーーーーーーッッ!!!! カル! カル君! コニーに……何したの! 何したの、何したのッ!!」 「そ……れは……」 「カルベルティさんもそこで詰まらないでくださいよ!」 「ぎみゃーーーーーーーーーーーーッッ!!!!」 もー、ね!! シェラ、わけわかんなくなっちゃって! 爪すんごく立ててカルをがっちり掴んで、引っ張って! 「こっち来なさい、カル! フゥーッ! フゥーッ!! ゆるさないんだからッ! 責任! そだよ、責任とりなさい! カルベルティ!」 「いや待て、待て……! 爪を立てて引っ張るな!」 「シェラ落ち着いてよぉぉ」 「まうまう〜」 「あーもーわかった! わかっちゃったんだから! コニーが倒れたのも苦しいのも心配なのも赤ちゃんもぜんぶぜんぶぜんぶカルのせーなんだってこと、わかった! ちゃんとして! カルベルティ! 今日からだからね! 逃がさないんだからっ!」 「何が、何からだ!」 「ぎみゃーーーーーーーーーーーーッッ!!!!」 ずるずる引っ張っていったの。 貨物室に! 「まうまう〜」 ……そいえば。 あの時また、マウマウが変な声出してたっけ?
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