舞台は霧といばらで外部と隔絶された学園
「プエラリウム」
厳しい規律に守られた園には
絶えず張りつめた空気が満ち
乱れのない時間が流れていた
しかしある朝 門の前に倒れている少女が発見される
この門はいつも閉ざされていて
限られた機会にしか開かないはずなのに
警戒の視線の中
問われるがままに 少女は名乗った
「アルエット」

その瞬間 錆びつき沈黙を保っていた時計塔の鐘が
とてつもない大音声で鳴り響いた
「時計塔の鐘が鳴り響く時、
この学園に遠からぬ終焉が訪れる」
噂話がほのめかす通り それはプエラリウムにおける
悪夢じみた長い混乱のはじまりだった
その後 紆余曲折を経て
プエラリウムの生徒となったアルエットは
夜間外出禁止の禁を犯して 自室から外に出てしまう
そこで見たのは 異界と化した学園と
殺意を帯びてうろつく異形の者
そして それらを決然と迎え撃つ
ある少女の姿だった

円形の外周と円形の柱、二重の輪の形をした巨大な空間。壁にも柱にもに大きな書架が設えられ、生徒たちが造化物の知識を吸収するための書物がぎっしりと詰められている。学習のための手段としては不人気なので、いつも閑散としている。しかし、本を愛好するロビンは、「図書館の住人」と呼ばわれるほどに入り浸っているようだ。
円階段状の花壇に、真紅の薔薇が立ち並んでいる。これは生徒たちが造化術で造ったもの。薔薇は「メイデン」という品種で、現在は造化術でしか咲かせることはできない。
高い天井を持つ荘厳な堂。奥には生徒たちの模範とされる最初のメイデンを象った、「大いなる乙女」像がある。生徒たちは週に一度の礼讃日の早朝にここを訪れ、皆で「大いなる乙女」の教えである礼讃祈詩(らいさんきし)を口ずさむ。
生徒たちが寝泊まりする宿舎。全員に個室が与えられている。全自動掃除機と洗濯機は、造化術を逆に作用させる技術によって、床や衣服の汚れを取り除いている。一般クラスと特進クラスの寮はそれぞれ独立しており、特進クラスのほうが部屋が広くて快適。消灯後は自室を出てはいけない、という規則がある。