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闇の―― 《オォオオオオオオオオオォオオオ……》(※2)
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■さちえさんの添削コーナー ※2)「擬音系のセリフですね。90年代後半のあかほり先生・神坂先生に対する批判ブームの結果、同人作家の方々や、エロゲーライターのみなさんは地の文では擬音を極力減らす方向で頑張ってるみたいです。でも、こうやってセリフの中では多用しちゃうっていうのは、その批判が表面上のものだけだったって事を露呈していると思いますけど、それはそれでステキだと思います」 ※3)「つい四行前まで『何か』と表現していたものが、いきなり『それ』に変化してしまいました」 ※4)「今度は『奴』になってしまいました。でもこうやって代名詞がたくさん出てくるのは賑やかでいいと思います。わかりにくいですけど」 ※5)「なんかサイバーパンク風の描写を試みたみたいですね。謎の存在である『それ』(または、何か、奴)がいきなり人間的なものであるとバラしてしまってますけど、でもサイバーパンク風の描写はステキだと思います」 ※6)「これも同人小説やエロゲーによく見られる特徴ですね。気分で罫線や三点リードの長さを決めているので、なれてない人は読みづらいかも。あとエクスクラメーションマークも多すぎな気もしますが、気合いが感じられていいと思います」] |
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勇気「(ポカーン)……」 | ||
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清香「どうしたの勇気ちゃん、そんなにお口をあんぐり開けて。餌? 餌が欲しいヒナの真似?」 | ||
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勇気「う、ううん……これ読んじゃって……(B4のプリント用紙十数枚を渡す)」 | ||
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清香「なにこれ?」 | ||
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フォクシィ「小説? タイトルがついてるわね」 | ||
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藤ヶ丘「『腐り姫 外伝・とうかんもり真譚 序章(※7)』とあるわね。腐り姫ですって? 簸川五樹、一体何なのか説明なさってくださらない?」 | ![]() |
※7) 「外伝なのか真譚なのか序章なのかハッキリしていないですね。単語の意味もわからず、とにかく恰好いいものを並べただけ見たいです。でも、子供が適当に色を塗ったプラモデルみたいな味があっていいと思います」 |
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五樹「僕は覚えがないけど」 | ||
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一朗「あっ、ああっ! みんな何見てるんだよ!!」 | ||
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清香「あら、一朗くん」 | ||
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勇気「(ビクッ)」 | ||
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フォクシィ「いま体震えなかった、勇気?」 | ||
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勇気「ううん、な、なんでもないよ……」 | ||
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一朗「清香さんが持ってるのは、俺の、俺の作品じゃないか――いやあ、困ったなぁ……アハハハハハ」 | ||
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藤ヶ丘「ぜんぜん困った顔をしていないわ」 | ||
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フォクシィ「むしろ嬉しそう。すごく嬉しそうね」 | ||
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一朗「え、これ? これはアレだよ、腐り姫のSSなんですよ! やっぱりファンたるものSS小説でも書いて同人誌のひとつやふたつ出さないといけませんからッ!」 | ||
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五樹「ありがとう、僕たちの同人誌を出してくれたんだね」 | ||
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一朗「いやあ、アハハハハ。実はまだ出てないんですけどね。完成度をもっと高めたいし……まだ完成してなんですよ。大作(※8)なんで。もしかしたらWeb掲載になるかもしれないかな。かなりの容量になりそうだから(※9)」 | ![]() |
※8)「完成してないのに大作だって言い切る度胸は凄いです。こういう人は、プロアマ問わず結構いますが、それを聞かされた人は大抵トイレに行きたくなっちゃいますね。でもその自信は凄いと思います」 ※9)「Web掲載っていうと、ITっぽくて凄いですけど、実際には路上で無料のティッシュを配るのとあんまりかわらないですよね。でもインパクみたいで凄いと思います」 |
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五樹「そ、そうなんだ」 | ||
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藤ヶ丘「ああ、どうしたことでしょう! あなたって男を急に殴りたくなってきたわ!」 | ||
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杏里「奇遇だね。ボクもだ」 | ||
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一朗「アハハハハハハハハ。困ったなあ、本にする前に読まれちゃうなんて。あ、皆さん読んでみます? 完成してないから恥ずかしいんだけど……(※10)」 | ![]() |
※10)「恥ずかしいのは完成していないことだけなんですね。前向きな姿勢がとてもステキです」 |
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杏里「聞いてない……」 | ||
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勇気(無理……無理だよ……あんなの長々と読めないよぅ……生前はコバルト文庫を読み親しんだあたしですら、あ、あんな寒いの読めないよ……読めないよ……!) | ||
腐り姫 外伝・とうかんもり真譚 序章 ――闇からの魔手―― 原作・ライアーソフト 文・朝月良樹(※11) 「ここが……とうかんもりか………」 ◇ |
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※11)「シャレも何もないペンネームが、本気を匂わせています……。あの、もっと頑張らなきゃいけないところがあると思うんですけど……」 ※12)「序章なのに第一章。すごいダイナミックな展開です。あ、でも同人小説らしさを醸し出していてステキだと思います」 ※13)「いきなり外見描写ですね。罫線をつかって、英語でいう関係代名詞のように、楽ちんに描写しています。描写内容も、妖精眼(カタカナで言うとオッドアイ、ヘテロクロミア)をとりあえず外見イメージだけで扱っていますね。小説であるのに漫画的な外見特徴しか描写しないことで、同人小説独特の面白さが際だっていると思います。小説としてはどうかと思いますけど」 ※14)「作中に作者が出てきていますね。同人小説で作者や作者の分身が出てくることは結構ありますけど、ここまであからさまなのは珍しいですね。全ての《哀しみ》を滅ぼすものですか……。妹さんやご両親の哀しみも滅ぼしてあげてくださいね、一朗さん」 |
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杏里「壱朗……(ポカーン)」 | ||
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一朗「ああ、そのキャラ、性格だけ俺をモデルにしてるで名前を似せたんですよ。五年前から考えてるオリジナル世界(※15)のキャラのひとり(※16)なんですけど、設定が腐り姫ともマッチするなと思って今回の主役にしてみたんです」 | ![]() |
※15)「何年前から考えていた、というのはオタクの方がよく使う常套句ですね。負け犬っぽいですけど、その前向きな考えは、いつか人を幸せにすると思います」 ※16)「一朗さんの頭の中にはいっぱいオリジナルキャラがいるみたいですね。どうやらオリジナルキャラが今回の主人公みたいですけど……、腐り姫の二次創作としてはどうなんでしょう? あ、でも少しでもオリジナリティを出そうというのはいいことだと思います」 |
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フォクシィ「そ、そう……なの……へー……」 | ||
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清香「……」 | ||
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五樹「哀しみを滅ぼすもの、か……続きを読みたいな(※17)」 | ![]() |
※17)「何かがツボに入って、興味を抱いてしまう人はごくごく稀にいます。だいたい後悔することが多いんですけど」 |
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一朗「どうぞどうぞ! あー、でも、ちょっとアレなんだよな」 | ||
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藤ヶ丘「アレってなんなの?」 | ||
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一朗「さっきも言ったけど、未完なんですよ。先に山場だけ書いてる状態(※18)なんで、途中までプロット状態になってたりするんですよ。ところどころ」 | ![]() |
※18)「こういう場合、山場でない部分が描かれることは滅多にないです。同人小説……でなく作家志望と誇らしげに語る人によく見られる特徴ですね。でもポジティブな姿勢はいいと思います」 |
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五樹「とにかく読もう」 | ||
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勇気(五樹さんすごいなぁ……) | ||
【第三章】 【第四章】 ◇ |
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※19)「……どうやらプロットとあらすじを勘違いしているようですね」 ※20)「オリジナルキャラの壱朗さんが、いきなり全キャラクターの頂点に立つ展開が素晴らしいですね。やりたい放題、という単語がうかんできます」 ※21)「何もせずにメインヒロインの心を開いてしまうところに、オリジナルキャラの無敵ぶりが出ています。ファン小説なのに、オリジナルキャラがヒロインを攻略してしまうのはどうかと思うんですけど」 ※22)「素っ気なく書いていますけど、あるかないかは重要ですよね……」 ※23)「とうとう完全に脱線してオリジナル世界へ突入しちゃいましたね。ファン小説の体裁を借りて、オリジナル世界を披露するのは、同人小説のテクニックのひとつですけど、あまりあまり面白くな……、あ、でも自分の世界を出すことはとてもいいと思います」 |
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藤ヶ丘「……(ポカーン)」 | ||
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五樹「………」 | ||
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フォクシィ「す、すごいわね……せ、世界への干渉とか……夢空間……ええと……その……スケール? ええそう、話のスケール……が……」 | ||
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勇気(フォクシィが良かったさがししてる!) | ||
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五樹「………」 | ||
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一朗「いまはまだプロット状態なんでですけどねぇ。まあでも、展開は4年前に考えたオリジナルの話を転用してるんで、完成度は高いと思いますよ(※24)」 | ![]() |
※24)「こういう事を言う人って結構いますよね」 |
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藤ヶ丘「そ、そう……ですわね……」 | ||
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清香「完成度……ね……」 | ||
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五樹「………」 | ||
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フォクシィ「………」 | ||
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杏里「………」 | ||
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五樹「とりあえず、続きを……」 | ||
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勇気(まだ読むの!?) | ||
《オォオオオオオオオオオォオオオオオオオオオ……!!!!!!》(※26) 凄まじい咆吼。世界すべてを呪うかのような、呪詛に満ちた咆吼が、夢空間そのものを震わせた。 つづく(※29) |
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※25)「理想の一朗さんが大活躍していて、向かうところ敵なしですね」 ※26)「また擬音系セリフです。きっと理性では拒否していても、心はあかほり先生や、神坂先生を求めているんでしょうね」 ※27)「セリフとセリフのあいだに間(ま)を入れようとしたみたいですね。失敗してますけど」] ※28)「敵の名前は『ジューダス・クライスト』のもじりのようですね。どうやら一朗さんは現在『月姫』にはまっているみたいです。露骨なパクリですけど、本人はアニメ版を罵るのに忙しくて、全く気がついていないようです。あと、神様の説明がとても私学文系っぽくてちょっと感動しました」 ※29)「続いちゃいました。『つづく』と書いて本当に続編を出した同人小説家はあんまりいません。完結まで書き続けたひとはもっと少ないです。だからこれは『俺たちの戦いはこれからだ』みたいなものですね。ジャンプっぽくてとてもいいと思います」 |
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フォクシィ「……(ポカーン)」 |
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清香「……(ポカーン)」 | ||
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勇気「……(ポカーン)」 | ||
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杏里「……(ポカーン)」 | ||
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藤ヶ丘「……(ポカーン)」 | ||
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五樹「………」 | ||
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一朗「いまのところ、書けてるのはここまでなんですよね。まだプロットが完成してないっていうか、キャラが俺の中で立ってきちゃってて、まとめるのに苦労してるっていうか。このままの流れですすめちゃうと五樹さんが死んじゃいますし(※30)」 | ![]() |
※30)「ついにファン小説の枠を飛び出したみたいです。でも枠にとらわれない生き方はとてもステキだと思います」 |
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五樹「………」 | ||
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一朗「実はこれ、キャラの名前変えたらオリジナルで通るように作ってあるんですよね。賞に応募できるんですけど……俺、時間ないから最後まで書けるかなぁ。それにまだ一応学生だしなぁ(※31)」 | ![]() |
※31)「自信満々ですね。一朗さんの頭の中ではいったいどんな未来像が広がっているのか、少し知りたいところです」] |
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五樹「……バロン、バロンはいるかい」 | ||
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バロン「呼んだか」 | ||
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五樹「一朗君を殴ってくれないか」 | ||
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一朗「え?」 | ||
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バロン「わかった。よく分からんが、いくぞ一朗―――発売日記念、バロン・パァアアアアアアアアアアアアアアアアアンチ!!」 | ||
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一朗「ギャッ!!」 | ||
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五樹「そして蔵女、いまだ!」 | ||
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蔵女「えい(赤い爪でプスッ)」 | ||
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一朗「あッ」 | ||
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愛美「あれ? みんなこんなとこに集まって何してるの?」 | ||
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フォクシィ「………」 | ||
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清香「………」 | ||
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勇気「………」 | ||
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杏里「………」 | ||
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藤ヶ丘「………」 | ||
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五樹「………ちょっと、掃除をね」 | ||
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愛美「む? その床の赤いシミなに? 雪みたいな――」 | ||
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杏里「さあ……何かな……アハハハハ」 | ||
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フォクシィ「アハハ……」 | ||
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清香「アハハ……」 | ||
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勇気「アハハ……」 | ||
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藤ヶ丘「ホホホ……」 | ||
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愛美「え? なに? なんなの???」 | ||
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フィアナ「というわけで『ライアー大戦じゃんまげどん』発売中です☆ みなさん、じゃんじゃん買ってくださいね!」 | ||
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愛美「え、なに、私出てきたばっかでもう終わりなの!?」 | ||
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「ということで、発売日記念特別更新『腐り姫 外伝・とうかんもり真譚 序章 ――闇からの魔手――』はどうだったでしょうか。続きが読みたい人は、「腐り姫外伝が読みたい係」まで、どしどしご応募ください。それではまた会う日まで、ごきげんよう」 | ||
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