「お伽話症候群(フェアリーテイル・シンドローム)」の患者である「楽園」で、ひとりの少年が目を覚ました。彼は記憶を失っていた。何故この場所にいるのか、自分はどんな人物で何を成すべきだったのか、大事なことほどわからない。かりそめの役割を得ている少女たちがうらやましく思えるほどに、寄る辺ない。
そんな折、彼の部屋で発見したスケッチブックには、乱れた筆跡でこんなことが書かれていた。
──少女たちの中にひとり、つみびとがいる。