1747年冬──。

 9代将軍・徳川家重の寵愛を受ける中臈『相模』は神社へ代参に来ていた。

 相模は参道脇に土俵を見つけると腰元に相撲を取るように命じる。

 しかし宮司に
『境内における相撲は神事で、この土俵は女人禁制』
と止められてしまう。

 将軍のお手つきとは言え、相手は由緒ある神官。
また、この神社に一晩泊まる身でもある。

 相模は引き下がったものの、爪を噛む思いで寒い夜を過ごした。

 翌朝、雪の降り積もった境内を見て相模は狂喜し、叫び声をあげる。

「雪で覆われておれば、よもや土俵とは言えまいて!」



  それから約250年後──。







女子相撲が「女雪相撲」としてすっかり定着した現代・日本―――

中学3年生の少女、花畑たんぽぽ(はなばたけ・−)はTVに釘付けとなっていた。そこに映し出されていたのは、全国高校女雪相撲大会で、圧倒的な力で3連覇を果たした、大河内小百合(おおこうち・さゆり)の姿。彼女に憧れたたんぽぽは、

「あたしもこの人みたいになる!!」

と決意し、翌日から女雪相撲に没頭していく。


それから4年の歳月が過ぎ。

たんぽぽは持ち前のセンスと、小百合に近づきたい一心でみるみる成長。「超高校級」と謳われ、高校女雪相撲界では敵なしの横綱となっていた。

だが3つ年の離れた小百合は、たんぽぽが高校に進学すると同時に大学女雪相撲界の名門校、大輪女子大学(たいりんじょしだいがく)へ進学。たんぽぽは未だ、小百合と会えずにいた。

そして、今日。たんぽぽは鳴り物入りで大輪女子大学へ入学。遂に、憧れの小百合と対面し、一緒に女雪相撲を取ることが出来るのだ!



有頂天のたんぽぽ。

「小百合さんに直接指導してもらえる!」
「『貴女、見所あるわね』なんて言われたらどうしよう!? きゃっ☆」

しかし、入学式を終え、入部希望者として女雪相撲部に集まったたんぽぽの前に現れたのは………




「鬼」と化した、憧れの人、大河内小百合だった。

大輪女子大学は処女以外の入部を認めない、と、実の妹に容赦のないビンタと言葉を浴びせ、追放。

ヒロ君という彼氏の居るたんぽぽは、「なんだかんだ拒み続けて正解!」と喜ぶが、すぐに小百合や先輩達にビンタの嵐を見舞われる。

理想と異なる現実に戸惑うたんぽぽ。そんな彼女をホテルに誘う彼氏のヒロ君。たんぽぽは処女を守れるのか。ビンタに次ぐビンタの日々に耐えられるのか。小百合に認められる日は来るのか。

そして、たんぽぽを待ち受ける、もう一つの問題。それは……


大学女雪相撲界の特殊な伝統だった――――。