翌朝──

 ワシントン中央駅を思わせるほどの広大な駅だった。
  20世紀における流通の要を成す超国家的計画として世間を賑わせたこともある、ユーラシア大陸−新大陸間の超長距離鉄道。大陸間鉄道。その中間地点に位置し、まさしく中継点であるシトカ・ターミナル。

 幾本もの線路。
  幾つもの列車。
  人々が行き交う、硬質な雑踏の音の中。
  広大きわまるホーム内通路を歩き、私は切符に記された列車へと向かう。
  少し形状の変わったジョンを、多脚式歩行鞄を連れて。

 第23番ホームで待機中の列車。
  長大な、大陸間弾丸列車。
  極東、オリエンタル域へと向けて今まさに旅立とうとする鋼鉄の列車へ。

「大きな列車ね」

「キィ」

「ええ。形は、良く似てる。
  大きさは全然違うけれど、列車というのは」

 全体的な像だけで言えば。そう。
  似ている。
  細長い、鋼の塊。

「似ているものね」

 列車の姿を目にしながら──
  私は、ふと、あの日のことを思い出す。

 愛しいひと。
  あのひと。
  アランの消えた都市での旅を終えた、あの日のこと。

 空、駆けていったあの列車。
  あの子が乗っていた、あの、1輛だけの地下鉄のことを。

「……私も」

 これから。

「これから列車の旅ね」

 どこかで。

「なら、どこかで」

 会えるかしら。

「あなたたちにも。会えるかしら」

 

「──リリィ」