キャラクター紹介第7回
“背徳の乙女”
『クローエ・ウィザースプーン』
“サイケデリックジャンキー”
『アンシャーリー・バンクロフト』

杏里
「コモ エスタ ウステ?(ご機嫌いかが?)
 杏里だよ。今回もとびきりの可愛い子を紹介しちゃおう」
クローエ
「はじめまして、じゃあないわね。クローエ・ウィザースプーン。出身はギリシャ、杏里と同じセカンドクラスに在籍しているわ」
アン
「アンシャーリー・バンクロフトは、コロンビアの高地に生まれてすくすく大きくなりました」
杏里
「アンは、ボクより一つ下の学年に在籍しているんだ」
アン
「めでたしめでたし」
杏里
「じゃあ、二人の素敵なところを、バッチリ喋ってプリーズ」
クローエ
「素敵って言われても……別にわたしなんか、大したものでもないでしょう?」
アン
「けんそんけんそん」
杏里
「そうとも、あのかかとの一撃といったら……!」
アン
「パーって、宇宙と死んだおばーちゃんが見えるのよ」
杏里
「図書館の格闘王、深遠なるヌシ、這い寄る静寂、クローエのあだ名をあげていったらキリがない」
クローエ
「……わたし、そんなあだ名で呼ばれてるの?」
杏里
「ほら、趣味がこうじてあだ名になる……って、よくあることじゃないか。釣りキチ三平とか、グラップラー刃牙とか、アルプスの少女ハイジとか……」
クローエ
「ぜんぜん趣味と違う。だいいちあのかかと落としだって、趣味でやってるんじゃないわよ」
アン
「しごと?」
クローエ
「それも違う。あなた達が図書館で騒がしくするから、ただ静かにさせようと思って……」
アン
「息の根を止める」
クローエ
「とめてないでしょ? ……とにかく、騒がしいのは嫌なの。静かなのが好みなのよ。図書館は数少ない憩いの場なんだから、喧噪で煩わせないで」
杏里
「そういえば、クローエって熱心なギリシア正教徒なんだよね。暴力は神の御意志に反しないの?」
クローエ
「図書館の静寂を護るためよ。時には神も怒りの御手を振り下ろすことがあるの。杏里、あなたも気をつけてちょうだいね」
杏里
「振り下ろされるのはクローエのブーツだけど……あ、いやいや、気をつけよう。そうそう、この船の構造にも詳しいんだよね。なにしろお父さんが、このポーラースターを設計したんだから」
クローエ
「……それと兄もね。たまたま実家が、代々造船設計家なの。定規を玩具にして育ったくらいだし。そりゃあ、一般の生徒よりは詳しいと思うけど」
杏里
「生徒どころか職員より詳しいって聞いたけど? なんでも秘密の機能がいろいろと……」
クローエ
「……変人で凝り性の設計者が色々つけくわえたのよ。わたしだって、全部を知ってるわけじゃないし」
杏里
「ブラックボックスだらけか」
クローエ
「『これだけ大きいと、浮かべてしまえば後はそうそう沈まない』とか言ってたわ」
アン
「がんちくのある言葉だわ」
クローエ
「そう……なの?」


《アンシャーリー・バンクロフト》


《クローエ・ウィザースプーン》


杏里
「それじゃあ、つづいてアンシャーリー、キミだ」
アン
「ただいまご紹介に預かりまして発送に替えさせていただきます」
杏里
「キミの実家は製薬会社だったよね?」
アン
「ううん、農場よ」
杏里
「あれ? 確か国内最大の製薬業だって……」
アン
「だって、花畑しかもってないもの」
クローエ
「へえ、花畑……」
アン
「白い花が一面に咲いてるの。真っ青なチョウチョも飛んでいたわ。いつもそこで遊んでたのよ。毎日、日が暮れるまで」
杏里
「楽しそうだなあ……でもそうか、アンシャーリーってやたらとクスリに詳しいし、よく持ち歩いてるから、てっきり製薬会社の娘だって噂を信じてたよ」
アン
「精製しないと薬にならないのよ」
クローエ
「……? それって……?」
杏里
「じゃあ、お父さんは農場の経営者なんだね」
アン
「うん、農場の元締めさん」
クローエ
「……? ……??」
杏里
「それじゃあ、趣味なんかをひとつ教えてくれない?」
アン
「歩いていると虹が見えるでしょう。あと、見つからないモノが見えてきたりするし。誰もいないのに杏里が見えたり」
杏里
「えーと、つまり散歩したりボクと会ったりするのが楽しい、と。光栄だなぁ」
クローエ
「……いまの、そういう会話だった?」
アン
「残念、クスリの時間だわ。ご機嫌よう杏里、クローエ、あたし帰るわね」
杏里
「おっと、ボクも次のコーナーの準備をしなくちゃ。ごめんクローエ、あと頼んでいいかな」
クローエ
「ええ、別にいいけど……って、行っちゃった。ふたりとも騒がしいわね、まったく。
 次回はとうとうキャラクター紹介の最終回。最後の紹介はクレア、ミリエラ、コーのビジター達よ。騒がしい事になりそうね、ゾッとするわ。
 それではみなさん アディオ(さよなら)」

学園施設紹介・第5回 『購買部通り』

杏里
「ご無沙汰! 施設紹介コーナーだよ。
 今回は、ポートサイド(船の左舷)で最も代表的な施設『購買部通り』について教えるね」
杏里
「名前のとおり、購買部のお店が並ぶ通りだよ! 説明終わり」
コローネ
「ウォウ?」
ニコル
「おいおい杏里。それじゃ説明にならないだろー?」


《購買部通り》

ニコル
「購買部通りは、生活必需品にはじまって、パーティドレス、家具、花、書物、酒・タバコ以外の嗜好品まで、あらゆるものが手に入る場所さ。学園で二番目に大きなお金の動く場所でもあるんだ」
杏里
「あれ? でも、ボクはこの場所で現金なんて見たこと無いけど。かなえさんのコーヒーを買いに来る時も……」
ニコル
「そりゃツケにしてるか、でなきゃお店の献上品なんだよ」
杏里
「献上品……サービスってこと?」
ニコル
「そうさ? 皇室御用達ならぬ、『ポーラースター御用達』って言葉があるくらいだ。
 まずこの船に出店するまでが、えらく大変なんだ。それだけでたいした権威なのに、お嬢様がたに新商品が気に入られようでもしたなら……」
杏里
「ヒット間違いなし!」
ニコル
「うん。各国VIPの両親に裏金工作するより、よっぽど早いってわけ」
杏里
「なるほど……よく見ると、色んなお店があるね」
ニコル
「あるよお、めまいするくらい。あたしが覚えているだけでも、紅茶のフォートナム&メイソン、フォーション、ウィッタード、ジュンバナ、サングマ、キャッスルトン。カフェならツァウナーにゲルストナー。お菓子のデメル、ヴィタメール、それからとらや───」
杏里
「あ、とらやは知ってる」
ニコル
「うん。あたしもあそこのモナカ好きだ。
 他はおきまりのオートクチュールやらDCさ。さすがにこちらはみんな飽食気味らしい。
 けど、ずっと船内にいると、溜まってくるものがあるらしくて、ついついどーでもいーものに手を出す」
杏里
「それで大金が動くわけだね。ちなみに一番はどこ?」
ニコル
「ハハッ、知ってるくせに? 言わぬが花さね。
 んで、写真左は海にせりだしたカフェテラス。好きな店から好きなものが注文できるよ」
杏里
「学園で1、2を争う人気スポットだね。見晴らしの良いテラスで、素敵な美少女と過ごす午後のティータイムは至高の喜び!」
ニコル
「えーと、土曜日の午後には『セップク』特製ケーキと紅茶のセットが通常の半額で楽しめるというサービスもあって、それから持ち帰り用の───」
杏里
「ニコル、なにを読んでいるのさ」
ニコル
「う……いいじゃないか。協力しておくれよ。ちょっとしたバイトなんだ」
杏里
「なになに? 持ち帰り用のシチューセットも大好評、パンでもライスでも最高の味を保証します?」
ニコル
「さらに、子牛の肉を使ったサンドイッチも絶品。ダイエット中のあなたには新鮮な野菜を上品にまとめたサラダがお薦め!」
杏里
「うわあ、まさに絶品だね。
 こんなお店、見たことないよ」
ニコル
「すごい! 『セップク』最高!」
杏里
「『セップク』トレビアーン!!」

ニコル
「……ハイ、オッケー。助かったよ杏里」
杏里
「宣伝を頼まれたんだね……そうだな。500ニコルでいいよ」
ニコル
「た、高っ、まけてよ杏里!」
杏里
「じゃ、今からボクと楽しいショッピングとしゃれ込もうか」
ニコル
「……ハイハイ」
杏里
「フフ、今回の紹介はここまで。次回は施設紹介も最終回さ。紹介する場所は秘密。
 では、オールヴォワール!」
杏里
「わーい、デートだデートだ。今夜は朝まで頑張ろうねニコル!」
ニコル
「バカ」
コローネ
「ウォウ?」