キャラクター紹介第2回 『ファン・ソヨン』

杏里
「アンニョンハシムニカ!(こんにちは) 『サフィズムの舷窓』キャラクター紹介の時間だよ。今回は、元気いっぱいコリアンガール、ファン・ソヨン!」
ソヨン
「はい! ファン・ソヨンです! 杏里さんの一つ下のファーストクラスに在籍しています。どうぞよろしくおねがいします!」
杏里
「ささ、キミの事をどんどん喋って」
ソヨン
「はい! 出身は韓国の鎮海。桜並木で有名な港町です。父は軍に勤めています。好きなことは体を動かすこと。スポーツなら何でもチャレンジです! 苦手なことはありますけど、なるべく無くすように努力しています」
杏里
「海軍司令官のパパにはじまって、家族兄弟全員が軍に関係している名門一家なんだ」
ソヨン
「ポーラースターに来た時は、レディとしての礼儀作法を身につけられるか、学業についていけるか不安でしたが、今では優しい先生や先輩方に囲まれ、とても恵まれた生活を送っています。でも、そのレ、レレレ──」
杏里
「レイプ事件?」
ソヨン
「は、はいっ。レイプ事件の犯人を、みすみす放っておくことはできません。新たな被害者が出る前に犯人を捕まえなきゃ! どうか御協力お願いします、杏里さん!」
杏里
「OK! でも次に襲われるのはずばり、キミかも!?」
ソヨン
「ええっ!?」
杏里
「そうさ? なにしろ犯人より先に、このボクが───」
コー
「あ、まちでうわさのレイプはん」
クレア
「逃げてぇっソヨンちゃん!」
ソヨン
「こらっ、コー? それにクレア? 先輩に失礼なこと言っちゃダメ!」
ミリエラ
「ま、火のないところに煙は立たないってね」
ソヨン
「もう、ミリエラまで?」
杏里
「ああソヨン。こんなにも慕われて、なんて後輩想いなんだ」
コー
「ねぇねぇソヨンちゃん。ビジタークラスのお茶会に出席してくれるって約束だよ?」
ソヨン
「ごめんね。も、もうちょっと」
クレア
「みんな楽しみにしてるのよ。ソヨンちゃんの紅茶キムチ!」
ソヨン
「それは嬉しいけど、あっ、コー? チョゴリを引っ張ったらダメ〜〜っ。あのっ、杏里さんもご一緒に?」
杏里
「いや。ボクにはこのあと大切な用が……でも最後に10秒だけ」
ミリエラ
「5秒だけ」
杏里
「ウィ。言いたいのはこの一言だけだ。このボクを信じてくれるかい、ソヨン?」
ソヨン
「はいっ、信じます。杏里さんがあんな罪深いことを働く方とは思えません!」
杏里
「メルシー! 勇ましい小さなソヨン! キミにそう言ってもらえるだけで、ボクは天にものぼる…………」
杏里
「……ふぅ……いっちゃった……」
天京院
「なに泣いてるんだ、杏里?」
杏里
「あ、かなえさん。これは涙じゃなくて、ハートからこぼれた愛のジュースさ」
天京院
「意味不明だよ。だいたいちゃんとファン・ソヨンには伝えたのかい? 3人の候補のひとりだって───」
杏里
「うん。大丈夫。安心して」
天京院
「すごく不安だ。ゆえにコーヒーを飲む」
杏里
「実はね、ソヨンはかなえさんの褐色の脳細胞が導き出した、『今後、事件の被害者になる可能性がある人物』のひとりなんだ!」
天京院
「(ごくごくり) うむ。候補は3人。彼女らと行動を共にすれば、犯人と遭遇する可能性も高くなる。だがそれは───」
杏里
「そう、同時に危険にも晒すことになる! だからボクは『犯人の魔手から被害者を護る』&『事件を解決して自らの疑いを晴らす』このふたつの目標を目指すのさ」
天京院
「1人の探偵、3人のヒロイン、6人の子猫ちゃん、そして正体不明の犯人が織りなすストーリーというわけだ」
杏里
「勿論、かなえさんもね。次回は、おっとりすずやか、世間知らずなフェアリィ『アルマ・ハミルトン』に登場願うよ。彼女も犯人に目をつけられた一人なんだ」
天京院
「これにてキャラ紹介は終わり。はい、次へ急いだ急いだ。キツネ目の女史が待ってるぞ」
杏里
「そう言う、かなえさんの方がよっぽどキツネ目」
天京院
「(鏡を取り出して)…………」

学園施設紹介・第2回 『空中庭園』

レイチェル
「みなさま、ご機嫌うるわしゅう。レイチェル・フォックスです」
レイチェル
「今世紀最後の耽美推理アドベンチャーゲーム『サフィズムの舷窓』。本日、皆様方にお目にかけます学園施設は───」
杏里
「なにが今世紀最後なんですか」
レイチェル
「左に見えますのが……」
杏里
「聞いてくださいよ! だいたい、あなたの登場なんて誰も期待してないんです! 賽の河原で小石を積み上げるみたいに投票してる、お菓子の城クンくらいです!」
レイチェル
「しょんなぁ〜。だって私ってば、キャラクター紹介の予定にも入っていないし、ここが唯一の出番と思って、張り切って出てきたのに……うううう」
杏里
「ああもー、いい歳して。やりにくいなァ!」
レイチェル
「でもっ、レイチェル負けないっ。ニュージャージーのお父さん、お母さん! レイチェルは頑張りますよ!」
杏里
「ソヨンじゃあるまいし、中年のけなげは可愛くない」
レイチェル
「教師に向かって、その口のききかたはあんまりね」
杏里
「え? バスガイドじゃなかったんだ」
レイチェル
「私、レイチェル・フォックスは、あなたの担任教師です」
杏里
「わお。ごめんね先生。ボクがおバカだったよ」
レイチェル
「わかればよろしい。それでは施設の紹介に参りましょう」


《空中庭園》

杏里
「はーい。えーとここが『空中庭園』です」
レイチェル
「全長1キロにも及ぶ、ポーラースターの甲板の大部分は、人工の森林に覆われています。その中央部に当たるのがこの空中庭園」
杏里
「緑がいっぱい。女の子もいっぱい」
レイチェル
「そうなの! 庭園はハイキングスポットとしてもすごーく人気があってねっ? 休日にもなれば、木陰で手製のお弁当を広げたりする可憐な乙女たちが見られたりして、先生は、先生はもうっ」
杏里
「ど、どうどう。いきなり鼻息荒くなったなァ」
レイチェル
「あ……こほん。学園の屋外施設は、この空中庭園を中心にして甲板に散らばっています。お嬢様がたご用達の乗馬場やゴルフ場、ローマのカラカラ浴場を模したプールなどがあるんです」
杏里
「まったく限度というもの知らない船ですね」
レイチェル
「ええ。なにしろ船幅だけで、豪華客船と同じ全長があります」
杏里
「そんな無茶な!」
レイチェル
「ちなみに、庭園の奥にうかがえるのは、この学園のシンボルである鐘楼です。こちらの紹介はまた後日に」
杏里
「ご苦労さま。今世紀最後のレイチェル先生の施設紹介でした」
レイチェル
「しょんなぁ〜」
杏里
「えーと次回予定は……」
天京院
「ブリッジ(操舵室)」
杏里
「ええっ? あそこは苦手なんだけどなァ。それはともかく、二週間後までみんな、アンニョンヒゲセヨ!(さよなら)」