おまちちゃんの新選組講座その1

 

 はっあ〜い、18歳以上の良い子のみんな、元気ですかー? おまちでーす☆ え、アンタ誰……って? やだなぁ、私を知らないなんて、モグリね、モグリ。あー、モグリってのは〜……土の中にいる動物のことよ。……ま、いいのいいの! とにかく、私はおまち。本当に知らないの? え、なーんだ、あなた「行殺(ハート)新選組」初心者なのね。じゃあ、しょうがないわ、許してあげる。私はおまち。もう三回目よ。巫女修行中の、恋に恋する16歳☆ うーん、今日も素敵な出会いを求めて京の街をさまようの。え、修行? 修行ってのは日々の積み重ねのことを言うのよ。いつか街角で素敵なお侍様とぶつかって、それから二人は恋に落ちるんだわ、うるる〜。 え、そんな未来の絵巻物みたいな出会いがあるかって? そ・れ・が! この前あったのよ! ……あれは私がバイト先の神社のお使いで街に出ていた日のことだったわ。油屋さんの角はちょっと陽が入り込みにくいとこだし、見通しも悪くって危ないのよね。早く街灯かミラーでも付けて欲しいわ。え、時代考証? あはは、そーいうこと気にするのは百年先でいいんだってば。それでね、そう、彼と出会ったのはそこだったわ。私が歩いていると、なんだか言い争う声が聞こえてきたのね。喧嘩かな、と思って見に行ってみたの。そしたら、若い男の人が、風体の上がらない浪士の集団に囲まれてるじゃない。多分、キンノーに誰かが絡まれてるんだわ。キンノーってのは、アレよ。最近京の町を騒がせている不逞浪士集団。元々は薩摩や長州の武士なんかが多いらしくて、結構強かったりするモンで、みんな困ってるんだけど、どうにもできないの。そんなキンノーに、正義のおまちちゃんが敢然と立ち向かう! ……わけないじゃない。私はただのか弱いバイト巫女。だから、助けを呼ぶことにしたの。だって、私一人でじゃ、どうしようもないじゃない。それに心当たりがあったのよ。みんなは「新選組」って、聞いたこと、ある? え、知らないの? ふふ、無理もないわね。新選組は京の町でもまだあんまりメジャーじゃないし。でもね、私はこれからブレイクするのは新選組だと思うのよ。悪のキンノーに立ち向かう正義の剣客集団。ええい、正義とか悪って言葉は使ってる人間が恥ずかしいと思った時点で恥ずかしいのだから大丈夫なの! ……しかも若くて可愛い女の子が中心になってるし。人気出ないはず無いわよね。その新選組は、日夜京の町を警備のために巡回していて、丁度この時間はこの近くを通るって知ってるのよ。おまちちゃんメモにバッチリ書いてあるから、そうなの。現に私が彼女達を捜そうと道を引き返すと、すぐに出会ったわ。事情を説明したら、みんな(って言っても一部だけど)で駆けつけてくれて。あっという間にキンノーどもを撃退してくれたわ。流石、新選組! キンノーなんか、敵じゃないわ! あ、でもやられていた男の人もお侍様みたいだけど……きっと不意打ちだったのね。卑怯よキンノー! ……というのが彼との出会い。その人、その後、新選組の屯所に行ったみたい。新選組の話をしてあげたら興味津々みたいだったから。私はさっきも言ったけど、門限で急いでたんで、帰っちゃったの。結局間に合わなかったんだけど。ででで、でね! 「運命の出会い」って言うくらいだから、この程度じゃないのよ。中指と中指に結ばれた赤い糸は、しっかりと二人の運命をひとつにしたの! え、小指? いいのよ、中指の方が、丈夫そうだし。その何日か後だったわ。また私がその辺りを一人で歩いてると、突然男達に取り囲まれて……そうよ、この前の出来事を恨みに思っていたキンノーが、仕返しに来たのよ! 新選組には勝てないもんだから、か弱い私が一人でいるところを狙うなんて、全く卑怯者が服を着て歩いているようなものね! ともあれ、おまちちゃん大ピンチ。男が寄ってたかって、女の子にする仕返しなんて! おまけに街中で裸に剥かれてしまって……。私、ヌード写真集は南太平洋の小島で撮影するって心に決めていたのに……。助けを求めて叫ぼうにも、大声出したら殺すって。哀れ、薄幸のヒロイン、キンノーの慰み者になって生涯を閉じる……私もちょっとだけ覚悟したわ。そこへ颯爽と現れたのが彼! そう、この前助けた彼よ。身に纏うのは、浅黄のだんだら模様、そう、新選組の羽織! もう、カッコいいったら! 彼は慌てるキンノーを千切っては投げ、千切っては投げ! あっという間にやっつけちゃったの! ……主にやっつけたのは、一緒にいた女の子なんだけど。彼は自分の羽織を私に掛けてくれながらこう言ったわ。「大丈夫?」って。ああ、これが運命! 運命の出会い! 私にも遂に、薔薇色の日々が訪れるのね! ここで掴んだ運命をモノにするも無駄にするも、努力次第よ。私は絶対無駄になんかしないわ。狙うはお武家様の奥方、目指せ最低十人扶持、望むは百石千石の旗本婦人! 会津藩お預かりの新選組ですもの、ちょっと名をあげればきっと、仕官の口には困らないはずだもの。この有望株との出会い、逃してなるものですか! 待っててね、おまち、明日から怒涛のアタックに出させてもらいまーす☆

●新選組

 新選組ってどういう人達だか、説明してあげるわね。京都の町を跋扈する悪のキンノーを倒すために結成された、正義の浪士集団、それが新選組! 元々は江戸やらもっと東の方やらの人達が多いみたい。会津藩が後ろ盾になってるって噂もあるわ。その新選組、最初はもっと大勢の人がいたみたい。そうそう、その頃は新選組って名前じゃなかったのよ。でもね、なんか内部でもめ事があったらしくて、時を待たずに離散……それでも正義の志を強く抱いていた人達は京に留まり、キンノーと日夜戦うことを決意したわ! それが新選組! 壬生で旗揚げされたから「壬生狼」なんて呼ぶ人もいるわ。なんで狼なのかしらね。せっかく可愛い女の子が多いんだから、「猫」なんてどうかしら? 「壬生猫」、ほら可愛い。

●新選組の評判

 さて、毎日私たちのために危険を省みずキンノーと戦い、京の平和を守ってくれている新選組。当然町の人たちの評判もうなぎ登りよ! 早速話を集めてみたわ。

「あー、知らないねえ。何する人達? 芸人さんかい?」
「結構生活に困ってるって話だぜ。酒屋のオヤジなんか『新選組はつけを払ってくれないから、お断り』なんて張り紙するくらいだし」
「あの『何でも屋』さん達だろ? いい連中だよ。お金さえ出せば、屋根の修理でもしてくれるしね。キンノーは壊して金を持ってくけど、新選組は直して金を持ってくって訳だ」
「結局キンノーと戦う、とか言っても、連中はどれだけいるか分かりゃしねえからなあ。まー、女の子ばっかりにしちゃ、良くやってんじゃないの」

……ありゃりゃ、何かあんまり芳しくないわね。確かに、お金に困ってるって言う噂は良く聞くし。それ以前に「知らない」って人も結構多いみたい。正義とは報われないモノねー。ま、さっきも言った通り、新選組はこれから『くる』のよ。今からファンやってれば、絶対先々自慢できるわ。あ、でも島田さん(仮名)だけは私のものですからね!

どうだった、私の新選組レポート? え、読みにくい? 仕方ないじゃない、わたしはただのバイト巫女なんだから。とにかく、これから毎週私がみんなに行殺の最新情報をお届けするわ。え、自分のことばっか話すんで、長くなるから、これっきり? そんな〜。

おまちちゃんの命運はあなた達がにぎっている、「おまちちゃん続投希望」「二度と出るな」など感想求ム。それはさて置き、次回はちょっと趣向を変えて行殺関連企画をHP上で立ち上げます。更新は1/15(土曜)の朝?