俺は誇り高きボルゾイ犬、コローネ・ジラルド。
この巨大学園船でジラルドファミリーの宝、ニコルの用心棒をしているんだが、授業中なんかは結構時間が空く。平たく言うと暇なわけだ。
いい男の条件ってのは色々あるが、余暇を有意義に過ごせるかってのも、それにあてはまる。
そこでだ、これから数回、俺の暇な時間をつぶすため、我等が船の内部を紹介していこうと思う。
散歩したり、昼寝したり、ホネッコ食べたりするよりは、有意義な時間の過ごし方ってもんだ。そう思うだろ?
じゃあ、手始めに俺の飼い主であるニコル・ジラルドの個室を紹介しよう。
意外に片付いてるだろ? 学園船の優秀なメイドたちの努力の賜物だ。
3日前に掃除が入ったから、今が一番過ごしやすい散らかり具合だな。
壁際に酒瓶が並んでいるが、アレの3分の2は水が入ったダミー。
自称風紀委員殿の手入れにあっても、水入りを渡して難を逃れるって寸法だ。
まあ、成人向けゲームに未成年などいないんだから酒を飲んでも問題ないんだがな、そうだろ? セニョール。
奥に見える扉はドレッサー。服のほとんどはパパ・ジラルドからの贈り物なんだが、ニコルは新調の度にやる採寸が嫌いで、毎回、一波乱起こしてる。
まあ、父親に自分の成長具合を逐次報告されてるようなもんだ。年頃の娘なら嫌がるのも当然か。
大きなベットは俺が隣に寝られるようにって気遣いだ。仕え甲斐のある主人で嬉しい……あっと、そろそろ昼か。ニコルとの待ち合わせに遅れちまう。
この部屋の話はここまでにして、外に行こうか。
「遅いぞ、コロ」
いい大人にコロはやめてくれよ、ニコ。遅れて悪かった。
ここは大廊下。教室とかの学習施設が集まっている学園船のメインストリートだ。
縦も横も、奥にもデカイこの通路は、いろんな場所への中間地点にあるから、待ち合わせ場所の定番にもなっている。
「さて、昼飯はなんにするかなぁ」
かく言う俺達も、ニコルが授業に出たときは、ここで落ち合ってから昼食に出かけるって寸法だ。
花壇にあるインフォメーションボードには、学園内の様々な情報が流れるから、空いているレストランを探すのにも都合がいい。
「和食って気分じゃない、ピッツアは昨日食った」
俺は毎日ピッツアでも構わないぞ。マッシュルームは勘弁だけどな。
上に並んでいる窓は、学生個室の窓だ。
大廊下に面した個室の住人は、ほとんどが上級生で占められてる。まあ、長いこと海ばかり見てると飽きるんだろうな。
「面倒になってきた。コロ〜任せるから。あたしを上手いメシに連れて行け〜」
お任せ!? あ、じゃあ俺、ステーキ食べたいな。
「あ、ステーキって顔だな。ダメ、午後は体育なんだ」
な、なんだよぅ。じゃあ、生ハムでもいいよぅ。左舷に良い匂いのするサンドイッチスタンドができてたんだ。
「ステーキ以外なら、いっぱい喰わしてやるから早く連れてけ」
いっぱい! いっぱいって沢山ってことだろ!!
さぁて、忙しくなってきたから今回はここまでだ。これからも暇な時に学園を案内するから楽しみにしててくれよ。チャオ!
「ぅわっ! 走るなよコローネ」
続く
■このコーナーでは、アンエピックで新たに追加・修正されたポーラースターの内装を毎回紹介していきます。第2回(5月下旬更新予定)は「杏里・アンリエット」「ヘレナ・ブルリューカ」の個室をご案内いたします。お楽しみに。