(visual:AKIRA)
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アーシェ 「あま〜い♪ やわらか〜い♪ もぐもぐ。もぐ。美味しいね、このケーキ!

シャーリィ 「アーシェ。食べる時は喋らない

アーシェ 「ふぁーい」

メアリ 「美味しい?」

アーシェ 「うん。ふぉいしい」

シャーリィ 「メアリ。食べてる最中に、話しかけたりしたら」

メアリ 「あ、うん。ええ。ごめんなさいね、アーシェ

アーシェ 「ん──?」

シャーリィ 「それにしても、本当。珍しいものに出会えたわね。ニューヨーク・チーズケーキだなんて、近頃は、あまり見かけないもの

メアリ 「そうね。本当、最近は滅多に

;アーシェ 「んく。うん。香ばしいよね。で、ふわふわ♪」

──お茶会。ささやかに。
──いつもの、3人の穏やかな時間。

──でも、いつもとは少し違う趣。
──珍しいものをあたしたちは頂いて。

アーシェが笑顔を浮かべて口にしている
キツネ色のベイクド・チーズケーキ。
珍しいもの。ええ、とっても珍しい。

甘くて香ばしい異国のケーキ。
既に、消えてしまった土地で生まれたもの。
時に、不吉と忌避されることもあるけれど。

レディ・クローディア曰く、
本当に、偶然、入手できたのだそう。

ベイクド・チーズケーキ。
正確にはニューヨーク・チーズケーキ。

世界最大の重機関都市が存在していた頃。
ニューヨークという名が地図にあった頃。
欧州にも、伝わったものがあった。

服飾、料理、飲料。等々。
NYクラフトビアの製法であるとかは
あたしたちには少し、縁遠いけれど。

お酒はあまり頂かないから。
特に、ビールの類はちょっと苦手。
でも──

──でも。こういうもの、なら。
──製法が残されたケーキの類なら。

──こうして、目にする機会もある。
──口に運ぶことだって。

──珍しいことだけど。
──まったくない、こともない。

メアリ (ニューヨーク、か)